Journal of Pesticide Science
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N-シアノメチル-2-クロロイソニコチン酸アミド (NCI) のイネいもち病に対する作用特性
2-クロロイソニコチン酸アミド誘導体のイネいもち病防除活性に関する研究 (第2報)
吉田 博小西 憲二小池 謙吾中川 泰三関戸 茂子山口 勇
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1990 年 15 巻 3 号 p. 413-417

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抄録

N-アルキル-2-クロロイソニコチン酸アミド8化合物を合成し, 水面施用によりイネいもち病防除活性を調べた. N-メチル-2-クロロイソニコチン酸アミド, N-シアノメチル-2-クロロイソニコチン酸アミド (NCI) およびN-プロパルギル-2-クロロイソニコチン酸アミドの活性が高かった. 炭素数3以上の飽和アルキル基をもつ化合物の活性はやや低かった. NCIのイネいもち病防除効果は接種15日前の水面施用で最も高く, それ以前の処理でも高い防除効果を示し, 持続効果に優れた. さらにNCIは圃場試験でも10a当りの有効成分量240gおよび120gの水面施用で施用後約40日目においても高い防除効果を示した. NCIの500ppmは in vitroPyricularia oryzae の胞子発芽, 付着器形成, 付着器侵入, 菌糸伸張, メラニン生合成にまったく影響を与えず, 抗菌活性は認められなかった. 一方, NCIは葉鞘裏面接種法でイネ細胞内の P. oryzae の菌糸伸張を顕著に抑制した. またNCIを水面施用したイネ葉上に生ずるイネいもち病の病斑を観察したところ, 小型褐点病斑数の総病斑数に対する割合の増大が認められた. さらにNCIはイネ白葉枯病防除活性も示し, プロベナゾールとの類似性が示唆された. 以上の結果からNCIはイネのいもち病に対する抵抗反応に関与し, この活性には部分構造として2-クロロイソニコチン酸アミドが重要であると考えられた.

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