Journal of Pesticide Science
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光学活性な1′-アセトキシチャビコール酢酸エステルおよびその位置異性体
合成とアズキゾウムシに対する忌避効果
李 〓鐘安藤 哲
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2001 年 26 巻 1 号 p. 76-81

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抄録

抗潰瘍あるいは殺虫活性を有する物質として, Zingiberacea 科植物から1′-acetoxychavicol acetate (1a) が同定されている. 今回, 1aとその位置異性体を hydroxybenzaldehyde から合成し, Chiralpak AS またはADを備えたキラルHPLCにより分割し光学活性体を得ることができた. これらエナンチオマーの絶対立体配置は, 対応する1′-hydroxy 誘導体を用いて決定された. すなわち (S)-および (R)-MTPAエステルの1H NMRデータを比較する改良 Mosher 法により, 早く溶出する右旋性化合物にRの, 遅く溶出する左旋性化合物には天然型1aと同じSの絶対配置を帰属した. アズキゾウムシに対して, 各化合物の二つのエナンチオマーは同様な殺虫活性を示した. 一方, 忌避効果に関して, 雄のアズキゾウムシに対する立体異性体間の差は認められなかったが, 雌に対しては (S)-体が (R)-体より強い活性を示した. アズキへの産卵数は (S)-体を処理した場合明らかに少なくなり, 特に (S)-1aの処理で顕著に減少した.

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© 日本農薬学会
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