2010 年 25 巻 1 号 p. 5-14
システムダイナミクスを用いて連携作業のモデル化を行い,作業時間,作業コスト,生産性について,連携作業を行わない場合(以下,分離作業と呼ぶ)との比較を行った。兵庫県内の素材生産事業体の間伐作業を対象に,チェンソー伐倒,ロングリーチグラップルによる木寄せ,グラップルによる集材,プロセッサ造材の4工程に対して時間観測調査を行い,得られたサイクルタイムを元にモデル化を行った。シミュレーションの結果,連携作業は分離作業と比較して,作業時間が約6割減少したが,作業コストは約4割上昇した。連携作業では伐倒以下の工程の稼働率が低下したことが作業コストの上昇につながっていた。また連携作業における伐倒工程のサイクルタイムに約2倍の標準偏差を与えてシミュレーションを行ったところ,サイクルタイムを一定とした場合と比較して,作業時間が9%増加した。この結果から,作業手順が定まっていない場合や,定性間伐などかかり木が発生しやすい場合など,サイクルタイムに大きなばらつきがある場合には,分離作業が有効であることが示唆された。