2002 年 51 巻 7 号 p. 515-525
18-クラウン-6, ベンゾ-18-クラウン-6, ジベンゾ-18-クラウン-6のアルカリ金属イオン抽出能及び抽出選択能に対する溶媒効果, クラウンエーテル (L) の大きさと構造柔軟性, そしてベンゾ基等の影響を平衡論により定量的に解明する目的で, これらのクラウンエーテルとアルカリ金属ピクリン酸塩 (MA) との1 : 1 : 1錯体 (MLA) に関して, 種々の低誘電率希釈剤への全抽出定数と分配定数, そして水中におけるイオン対生成定数を25℃で決定した. 更に, すべてのクラウンエーテルについて, 分配定数を25℃で測定した. クラウンエーテル自身とMLA錯体の分配挙動は, クロロホルムの場合を除いて, 正則溶液論で説明することができた. LとMLA錯体のモル体積と溶解パラメーターを決定した. これら三つのクラウンエーテルのMAに対する抽出能及び抽出選択能 (K+>Rb+>Cs+>Na+>Li+) を四つの素平衡定数を用いて詳細に考察し, 本研究の目的を達成した.