日本内科学会雑誌
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IV. 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
3. 酸化ストレスとNASH
岡上 武光吉 博則
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2006 年 95 巻 1 号 p. 51-56

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抄録

NASHの病態形成にインスリン抵抗性とともに酸化ストレスが重要である. 本稿ではNASHの病態および治療における酸化ストレスの関わりについて概説する. 酸化ストレスは肝細胞脂肪変性に伴うミトコンドリア障害, CYP2E1の誘導によるスーパーオキサイド産生やペルオキシゾームからのH2O2産生, 鉄蓄積によるフェントン反応を介したヒドロキシルラジカルの発生などの結果, 脂質過酸化物や炎症性サイトカインが誘導され, 炎症, 線維化, 発癌を促進させる. NASH治療は体重のコントロールが第一で, 薬物治療ではインスリン抵抗性改善薬の有用性が注目されているが, 酸化ストレス制御による肝病態改善も多数報告されている. 今後, NASHにおける酸化ストレス障害の病態解明が進めば, より効果的な「抗酸化ストレス療法」の確立が期待できる.

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© 2006 一般社団法人 日本内科学会
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