マダイイリドウイルス病は,1990年に四国のマダイ養殖場で最初に報告された.1991年以降も西日本の養殖場でマダイのみならず多くの海産養殖魚に被害を及ぼしている.病魚は運動が不活発となり,極度の貧血症状,鰓の点状出血及び脾臓の肥大を呈する.原因ウイルスはイリドウイルス科に属し,red sea bream iridovirus(RSIV)と命名されている.RSIVのゲノムは,直鎖状2本鎖DNAであるが,他のイリドウイルスと同様,円環的置換が許され,末端が重複していると考えられる.円環状となる遺伝子地図の長さは112,415bpである.RSIV感染魚の迅速診断法として,単クローン抗体を用いた間接蛍光抗体法及びPCR法が広く使用されている.また,本病の防除法として,ホルマリン不活化ワクチンが開発され,実用化されるに至っている.