Journal of MMIJ
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小特集 石炭エネルギーの開発・利用
室内および小規模フィールド実験による石炭地下ガス化 (UCG) のエネルギー回収率評価
蘇 発強板倉 賢一出口 剛太大賀 光太郎海保 守
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2015 年 131 巻 5 号 p. 203-218

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抄録

UCGにおいては,炭層内のき裂進展に伴う燃焼空洞の拡大と石炭の消費が重要であり,これがガス化効率や安全性 (地盤沈下,ガス漏洩等) に大きく影響する。本研究では,ガス化効率,回収エネルギーとガス化空洞の評価方法として,化学量論および化学平衡に基づく評価手法を検討した。生成ガス組成と求めたガス化反応式から,石炭の消費量,ガス生産量等を推定する方法である。また,エネルギー回収率を定義し,UCG室内モデル実験及び露天炭鉱の炭層で行った小規模現場実験の結果を評価し,リンキングの方式や注入ガス等のパラメータがガス化効率やガス化空洞の成長に与える影響を検討した。リンキングの方式として,L字,V字,同軸型のUCG実験を行い,ガス化効率の違いと,その原因を明らかにした。すなわち,リンキング型と同軸型モデルを比較すると,リンキング型UCGモデルの方が発熱量が高く,平均発熱量では,前者が10.26/11.11 MJ/m3 (室内) ,14.39 MJ/m3 (現場) であった。一方,同軸型モデル試験では,7.38/4.70 MJ/m3 (室内) と6.66 MJ/m3 (現場) と低い値であった。実験後の空洞体積の直接評価結果でも,リンキング型の方がガス化領域が拡大していることを確認した。リンキング方式の方が,炭層内にき裂を連続的に進展させやすいためと考えられる。また,エネルギー回収率の評価では,実験前後の供試体質量差から求めたエネルギー回収率と比較検討を行った。その結果,両者の誤差は約10%で,検討した手法によりエネルギー回収率や燃焼ガス化領域の石炭消費量を推定できることがわかった。以上の結果より,検討した化学量論法よる回収エネルギー評価手法は簡便で,実用的であることが明らかになった。

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© 2015 The Mining and Materials Processing Institute of Japan
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