日本食生活学会誌
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論文
発芽玄米含有レトルト米飯を摂取したときの健常人の栄養状態及び身体状況に与える影響
海老塚 広子佐々木 千恵喜瀬 光男有田 政信
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2007 年 18 巻 3 号 p. 216-222

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抄録

  女子大学生に発芽玄米含有レトルト米飯を主食として摂取させたときの栄養状態, 身体計測値, 血液生化学的検査値について摂取前の状態と比較してその影響について検討した。その結果,
  (1) エネルギーの栄養素別摂取構成比率は, 摂取前13.4:27.9:58.7であったが, 摂取期間では13.3:24.5:62.3となり, 脂質の過剰摂取と炭水化物の過少摂取の状態から適正比率へ近づいた。白米と比較して発芽玄米含有レトルト米飯に豊富に含有されている食物繊維, マグネシウム, ナイアシン, マンガンの摂取量が有意に (p<0.05) 増加した。総脂肪酸量は摂取前44.1±9.5gから37.6±10.5gとなった。
  (2) 体脂肪率は摂取前27.2±3.7%, 摂取終了時25.7±3.8%, 終了後9週目26.6±2.8%となったが, 有意な差異は認められなかった。適正範囲より高値であった被験者については適正化がなされた。BMIについても同様の変動を示した。
  (3) 血清の生化学検査については, 総コレステロールは摂取前194.6±53.5mg/dl, 摂取期間178±41.5mg/dl, 摂取終了後5週目188.4±47.9mg/dl と変化したが, 有意差は認められなかった。200mg/dl 以上の高値を示す被験者については試験期間で適正化がなされ, 終了後試験前のレベルになるという結果が認められた。
  以上より, 発芽玄米含有レトルト米飯を長期的に摂取することは, PFCバランス及び栄養摂取状況の適正化を誘引し, 健康維持および増進に有益であることが判明した。

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© 2007 日本食生活学会
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