2016 年 119 巻 12 号 p. 1504-1510
スギ花粉症の舌下免疫療法は効果的な治療であるが, 安全性と効果にはより良いアドヒアランスが求められる.
【目的】舌下免疫療法のアドヒアランスの実態と効果への影響を検討する.
【方法】スギ花粉症舌下免疫療法を2年間行った132例を対象に, 患者申告と処方実績からアドヒアランスを調査した. また, 2016年花粉飛散ピーク時に全般症状の Visual analog scale (VAS), 日本アレルギー性鼻炎標準 QOL 調査票 (JRQLQ No1) のフェーススケール, 総鼻症状薬物スコアを調査し, アドヒアランスとの関係を検討した.
【結果】処方実績アドヒアランスは1年目 (88.5±9.8%) より2年目 (80.8±13.6%) で下がった (p=0.001) が, 2年間で83.1±11.7%と良好であった. しかし, 患者申告は実際より高く, 特に2年目で13.5%高くされていた (p=0.001). アドヒアランスの良い例で全般症状 VAS 値の良い例が多く, アドヒアランスの悪い例で全般症状 VAS 値のバラツキが大きかった. アドヒアランス70%および75%以上の場合に, 調査した3つの評価項目において効果が認められた.
【結論】舌下免疫療法のアドヒアランスは比較的良いが, 効果を向上させるためには適切なアドヒアランスを保って治療をすべきである.