新型インフルエンザの流行に際して,全国の災害拠点病院592施設を対象に,平成22年1月~3月にかけて,栄養・給食部門における人員計画や業務継続計画等について質問紙調査を実施した。
回答が得られた392施設(回収率=66%)のなかで,病院全体の対策ガイドラインのなかに,栄養・給食部門の対応についても書かれていると回答した施設は43%であった。人員計画では,「欠勤の可能性が大きい従業員(年少の子どもや要介護の家族がいる等)の把握」までは55%の施設で実施しているものの,「突然の欠員がでた場合の要員確保の準備」(36%)や,「食事提供方法や献立内容の変更準備」まで実施している施設は24%にとどまった。2009年の新型インフルエンザウイルスは,結果として弱毒性であり,一部地域で学校閉鎖がおこなわれたものの,日常生活の制限や食料品・生活必需品の不足,公共サービスの停止はみなれなかった。そのためか,「取引先に問題が生じた場合の代替業者の選定」や「調達困難となることが予想される原材料の備蓄」も「感染が拡大したら実施予定」としているところが最も多かった。今後,強毒性の新興感染症の流行も想定されるため,感染が拡大したときにすぐに対応できる事前の準備が重要である。
(オンラインのみ掲載)