飽和した砂質地盤における液状化ポテンシャルの算出のために, ファジィ集合理論を用いた低コストで迅速な評価手法を検討した.このシステムでは, 表層地質, 地形, 地盤振動の増幅率・震度を含む地震工学的特性, および砂層の厚さ・地下水位・表土層の厚さ・土質を含む地盤工学的特性の8項目を用い, 各項目には液状化に対しての評価規準を設定した.個々の評価基準は自然言語で表現されるので, これにメンバーシップ関数を与え, ファジィ集合演算によって液状化ポテンシャルを算出した.
本研究で提案する評価システムを, 1990年6月に地震の被害を被ったイラン北西部のGilan平野に適用した.液状化ポテンシャルの高い部分は, この地震によって液状化した砂質地盤と概ね対応しており, 本システムの有用性が確かめられた.